クリニック経営マガジン編集部では、6年以上前からCBDに注目して患者様に提供している、ナチュラルアートクリニック(四ツ谷)の御川安仁院長にインタビューを行った。
インタビューでは、CBDを知ったきっかけから、実際に患者様への投与に至った経緯、そこから得た知見などについて語っていただいた。
インタビューはCBD販売事業責任者である、須山が行った。

須山:先生がCBDオイルを患者さんに使うようになったきっかけを教えてください

御川院長:大麻成分であるカンナビノイド、それに類する物質の内因性カンナビノイドが見つかったのが1992年です。私が医師になったのが1995年なのですが、その頃から少しずつ内因性カンナビノイドの研究が始まってきました。私は、岡山大学出身の麻酔科医なのですが、集中医療の分野でも内因性カンナビノイドは研究対象になっていましたね。

もちろん大麻自体の研究というのは出来なかったのですが、人体が最初から持っている内因性カンナビノイドの研究は出来たので、大学院などでは取り組みを始めていましたね。
私自身が研究対象にしていたわけではないのですが、周りの医師がそのような研究をしていたので知識としては持っていましたし、患者様へ投与するにあたっての抵抗などは特にありませんでした。

ただ、実際に患者さんに投与をするようになったのは、6年前くらいですね。日本ではかなり早いほうだったとは思いますが、知ってからはもう10年以上経っていたことになります。内因性カンナビノイドのことは知っていましたが、患者さんに実際に使えるオイルなどがあることも知らなかったですね。

須山:CBDオイルを知ったきっかけを教えてください

御川院長:本当にたまたまですね。友人が海外でCBDオイルっていうのが出てきてるよ、というのを教えてくれました。大学時代のことを思い出して、患者様の選択肢にならないかと勉強を始めたのがきっかけですね。そうしたら、日本でもちゃんと使えることがわかりましたし、オーストラリアの知人から実際にCBDオイルを送ってもらうことも出来ました。最初はパニックだったり、いわゆるメンタル系の方に効果があるのでは?ということで、パニックを抱えている患者様に使ってもらったりしていました。

患者様のためになりそうだということもあり、もっと本格的に勉強をするためにオーストラリアに5年ほど前にいきました。合法化されていく過程の時期に行ったのですが、そこでCBDに関する世界的な集まりがありました。その場で、世界中の研究者や患者様と実際に触れ合うことが出来て、とても勉強になりましたね。

そこではCBDオイルを利用してがんを治されたという方の体験談も聞かせていただき「ああ、本当に効くんだな」という実感を得たので、本格的に使い始めてみました。

須山:今までに患者さんが効果を感じられていたケースはどのようなものがありますか?

御川院長:当院では色々なサプリメントなどを併用しているので、「CBDオイル単一の効果」というのは難しいですが、原因不明の足のけいれんを抱えている患者様で、症状が緩和されたというケースはありました。てんかんなどもなく、原因がわからないのですが、とにかく足が急につったような感じでけいれんしてしまう。この方は、CBDオイル飲まれたその日から完全に収まっていましたね。

後は、やっぱり不眠でしょうか。不眠傾向の方にはかなりよく効く印象です。ただ、これらはあくまでわかりやすい症状をお持ちの方なので、誰にどれだけ効いたかは難しいですね。実際にがん患者さんにも使っていますが、多くの方が他の療法と併用されているので。逆にオーストラリアにいった時に、海外の方たちにインタビューした時には、CBDオイル単独でもこんなに効いているのか?と驚くような方もいましたね。

須山:CBDを使ってみて、効果が無かった例や、使わなかった方がよかった例はありますか?

御川院長:疼痛には効くと言われていますが、とある患者さんがすごい強烈な痛みを訴えていてかなり濃度の高いCBDを使ったものの、効果が無かったケースはありましたね。

後は、効果が無かったというよりは、使い方を慎重にしなければならない例はありました。高齢者の方や、身体が小さい方ですね。使う量を慎重に見定めなければいけないなと。自分の体験や、若い年齢の患者さんを参考にして、さらに半分くらいの容量からスタートしたのですが「くらっ」ときた方はいました。そういう方には比較的少量や、濃度を下げるなどの対応をしたほうが良いかなと思います。

須山:目安にされている基準値はありますか?

御川院長:明確な基準値というものは無いです。かなり個人差もありますので、患者様の様子を見ながら少しずつコントロールしていくのが良いと考えています。最終的には1日数100㎎まで持っていくのがいいかなと考えていますが、スタートはかなり個人によって差があります。10分の1くらいからスタートすることが多いですね。すごくよく効く人だと1,2滴で効いてしまう人も実際にいらっしゃるので。

難しいのが、年齢だけが要因ではないという点です。実際に、若い患者様でも1滴で効いてしまう方がいらっしゃいました。不眠と頭痛があって、試しにCBDを使ってみようという話になった若い女性患者様がいたのですが、その方は1滴だけで効き目を感じていましたね。元々ハーブとかを好んでいて、感受性が高い人だったのも要因だとは思います。舌下ですと吸収も早いですから、レセプターにしっかりはまれば少量でも効果がある人はいるのではないかと思います。

須山:先生は複合的にサプリメントなどを使われていますが、CBDオイルと併用して良かったものはありますか?

御川院長:不安やストレスを感じやすい患者様。例えばがん患者様。がんに対して直接的な効果を期待してCBD、という考え方もありますが、それ以外にがんであることへの不安からの不眠、そういう症状のためにCBDを出したことがあります。ただ、あまりにもストレスと不安から、そこまで良い結果が出なかったのでギャバを合わせて出しました。そうしたところ、一気に睡眠をとれるようになったことはあります。

アントラージュ効果という、カンナビノイドだけではなく、その他との成分との相乗効果、という考え方もありますので複合的な作用があると考えられます。同じレセプター同士で競合してしまうものは難しいと思いますが、他のレセプターを利用するものであれば、併用も問題ないのではないでしょうか。

須山:先生がCBDをすすめたいケースはどのような疾患・症例でしょうか?

御川院長:筋肉系、神経系が興奮状態にあるようなものを鎮静化させるようなケースには、ファーストチョイスとしてアリかなと思います。後は、当院の場合、免疫だったらこのサプリ、不安を抱えているならこのサプリ、といった形で特化型のサプリを多く扱っていますが、それらを複合的に抱えている方にはオススメしやすいですね。オールインワン的に、まずCBDを飲む、という選択肢があると思います。

レセプターも体中に幅広く分布していますし、「落ちている人を上げてくれる」「上がりすぎている人を落ち着かせてくれる」と、程よいところで調整してくれるのが良いですね。

複数個所、複数要素の悩みを抱えている方にはベースとしてお勧めはしやすいです。足りない部分は、他で補えば良いわけですし。(主な受容体とされる)CB1,CB2以外のレセプターにも、少しずつ影響を与えているっていう話もあるので、とても使いやすいです。

須山:がんを抱えてらっしゃる患者様にも使われているとお聞きしましたが

御川院長:当院では抗がん剤などは使わないので、CBDとミトコンドリアを活性化させるもの2つだけで抑制出来ている患者さんがいらっしゃいます。腫瘍マーカーなどにも反映されてきているので、そのうち多くの方に受け入れられるのではないかと思います。

ナチュラルアートクリニック四ツ谷 院長 御川安仁

【略歴】
平成7年 岡山大学医学部卒業
平成7年 岡山赤十字病院 救命救急センター 麻酔科
平成9年 高知県立安芸病院 麻酔科
平成11年 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院 麻酔科
平成14年 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔・蘇生学講座
平成15年 医療法人里仁会 興生総合病院 救急科 麻酔科
平成16年 国立国際医療センター 救急部 臨床研修指導医
平成17年 川口市立医療センター 救命救急センター 医長
平成18年 医療法人新松田会 愛宕病院 ER-救急蘇生センター 救急部長 統合医療科 麻酔科
平成27年 医療法人ふたまた会 ナチュラルアートクリニック開院

【資格等】
医師・医学博士
日本麻酔科学会麻酔科指導医
日本救急医学会救急科専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本統合医療学会認定医
統合医療臨床認定医
細胞環境デザイン学上級医師コース修了
日本DMAT(災害派遣医療チーム)チームリーダー
分子整合栄養医学専門医
サプリメント療法認定医
点滴療法認定医
日本予防医療協会予防医療診断士
遠絡療法専門医
アーユルヴェーダ医師コース修了
JATEC(外傷初期診療)
JPTEC(外傷病院前救護)
ACLS(二次心肺蘇生法)
ICLS(心肺蘇生法)
ITLS(病院前外傷処置)