クリニック経営マガジン編集部では、一般社団法人診療所事務長会の理事と医療法人社団ワッフルの事務長を務め、事務長界の重鎮とも言える松田邦彦氏にインタビューを行った。インタビューでは、松田氏のこれまでのキャリアから松田氏が考える事務長のあり方や採用方法まで、幅広く語っていただいた。インタビューはクリニックコンサルタントの間瀬恵太が行った。(第1回の記事はこちら)
間瀬:スタッフ採用についてお聞きしてもいいですか? 医療事務、看護師がなかなか採用できない、採用できても定着しないという声をよく聞きます。
松田:スタッフ採用の基本は、クリニックの理念など自院の方向性にあった人を採用することです。ですが、これがなかなか難しいのが実情です。難しい原因は大きく2点あります。1つ目は、急に辞めてしまったスタッフの穴を埋めるために急募で採用するケースです。このような場合はすぐに働けるという条件面にフォーカスせざるをえません。2つ目はクリニックの理念があっても、それが行動指針レベルまで落ちていないケースです。行動指針レベルまで落ちていないと面接の採用基準として機能させることができません。
間瀬:採用を成功させる秘訣のようなものはありますか?
松田:クリニック全体で求める人財像を明確にすることです。そのためにも先ほど申し上げた行動指針は重要です。その上で専用の採用サイトを制作し、打ち出していくべきです。
間瀬:特設採用サイトを作るクリニックが増えていますね。
松田:クリニックのホームページは患者さん向けで、採用サイトは求職者向けと対象も目的も全く違うわけですから、分けて作るべきだと思います。当院の採用専用サイトからもしっかり応募がありますし、何より応募される方のクオリティが大変高いです。またIndeedなどの採用媒体を見てから採用専用サイトへ移動し、応募されるようなケースも目立ちします。そのため、当院が掲載しているカルージョブさんやコメディカルドットコムさんといった採用媒体と、採用専用サイトを合わせて使うことでより効果が出せていると思います。
間瀬:カルージョブもコメディカルドットコムさんも、どちらも成果報酬型の採用サイトですね。
松田:クリニックの採用は成果報酬型でないとなかなかしんどいと思います。開業時にオープニングスタッフとして5名~10名採用したいようなケースでは、掲載課金型の媒体でもよいと思います。しかし、当院のように「産休のスタッフの代わりとして1名だけ採用したい」のようなケースでは成果報酬型が合っています。
間瀬:給与や労働時間といった条件採用から、クリニックの理念に基づいた理念採用への動きが出てきていますね。
松田:条件採用から理念採用へという方向性は賛成です。ですが、例えば都心部では条件面を満たさないとそもそも求職者に目を向けていただけないと思います。そのためミニマムの条件はしっかり用意した上で理念採用を行うべきだと思います。
間瀬:スタッフ採用の面接ではどのような点に注意していますか?