クリニック経営マガジン編集部では、一般社団法人診療所事務長会の理事と医療法人社団ワッフルの事務長を務め、事務長界の重鎮とも言える松田邦彦氏にインタビューを行った。インタビューでは、松田氏のこれまでのキャリアから松田氏が考える事務長のあり方や採用方法まで、幅広く語っていただいた。インタビューはクリニックコンサルタントの間瀬恵太が行った。

間瀬:松田さんのこれまでのキャリアを簡単に教えて頂けますか?

松田:大学生時代にドミノピザでアルバイトをしておりまして、そのまま正社員としてドミノピザに就職したというのがキャリアの初めです。その後、トランス・コスモスにコールセンターのリーダーとして就職しました。トランス・コスモスではいろいろなプロジェクトに関わりましたが、最後は大手海外企業の担当として200席のコールセンターの責任者を務めました。席数だけで200席ともなると一緒に働く仲間の数は300名近くになります。

間瀬:300名のマネジメントとなると、どういった状態になるのでしょうか?

松田:そこが問題でして、当然、300人となると顔は覚えられません。結果として上がってくる数字だけで人を判断するようになっていきました。数字が達成できない人は切り、新しい人を入れる、ということを繰り返すうちに、だんだんと「これでよいのか」と悩むようになってきたのです。悶々と悩む日々を過ごしたあげく、結局退職することにしました。退職後、自分は何のために働きたいのか?という問いを考える続けるうちに、「人のために働きたい。特に目の届く・手の届く人たちを幸せにしたい」という想いに気が付きました。

間瀬:「目の届く範囲」というところがポイントですね。

松田:そうです。数字ではなく、人の顔を見て幸せにしたかったのです。そして、そんな時に出会ったのが医療法人梅華会(以下、梅華会)です。梅華会の理念が私の考えとぴったりと一致したのです。そして、梅華会の経営企画のマネージャーとして就職しました。私が就職した2014年当時は3院まで展開しており、ちょうど梅岡理事長がすべてを行うのが難しくなってきたタイミングでの採用でした。梅華会に就職した私は、梅岡理事長しかできない仕事を残して、それ以外を全部引き取ることにしました。それにより梅岡理事長の時間を作ろうと思ったのです。

間瀬:理事長の時間を作るという発想はおもしろいですね。

松田:当然、理事長にしかできない仕事とは診療業務と経営です。ですから私の仕事はそれ以外の全部と言ってもよいです。当時はスタッフのマネジメントが一つの問題でしたから、スタッフと梅岡理事長の間に私が入って、できるだけスタッフのマネジメントを自分が行う形にしていきました。また、業務の仕組化も進めました。具体的には、採用、労務、教育、分院の土地探し、ドクター探しなどです。そうしているうちに経営企画のアシスタントが必要になり、そこで採用したのが現在も梅華会に勤めている村上英之さんです。

間瀬:村上さんは私も親しくさせて頂いております。

松田:よく知ってます(笑) 入職した村上さんにホームページの対策をお任せしたのが梅華会のマーケティングのはしりだと思っています。さて、私の方は自分のやってきたものを複数の人に任せ、各担当者がより深くするということをサポートしていきました。そしてある程度仕組化も進み、自分自身の中で梅華会における役割を果たしたことから退職を決意します。その後、2017年10月に現在の医療法人ワッフルの中野理事長にお声がけいただいて、事務長として就職しました。梅華会に在職していたころから、No.2という立場は孤独でしかも一人でマーケティングから経理、労務管理まで非常に幅広い範囲をみなければいけない難しさも痛感していました。そこで、現在事務長会の顧問を務めるミツワ広告株式会社の代表取締役社長である天野智敦さんの呼びかけの下、事務長同士が交流でき、ナレッジをシェアできる場として「診療所事務長会」を仲間たちと始め、今に至っています。

間瀬:松田さんが考える事務長の役割とは何でしょうか?

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