地域で知られていない、試されていない

開業して数年経って先生ご自身は地域で十分知られていると感じていても実はそれほど知られていない、知られていても試されていないというケースがほとんどです。

一般の人にとってはクリニックに足を運ぶ機会は限られていますし、新規のクリニックへの訪問は非常にハードルが高いからです。そのハードルをいかにして下げるかを最終回に取り上げようと思います。

ビジョンが一番大事。どのように地域に貢献したいか?

地域の健康に貢献したい。この想いはほぼすべての先生がお持ちだと思います。地域へ溶け込み地域に選ばれるためにはまずはこの想いを明確化し、どのようにしたら形にできるか考えることから始まります。

地域貢献の形の仕方については、クリニックへのコンサルティング業務で定評のあるメディカルスタイルパートナーズの青木忠祐代表は以下のような具体例をあげています。

地方の整形外科クリニックのケースです。この先生は、スポーツ医学の経験もあったためこの強みを生かして地域へ貢献しようと考えました。地域を調べていくとサッカーが盛んな地域であることがわかったため、地元の少年サッカーチームに声をかけて提携関係を作りました。その後、サッカーの練習後に、ケガをした際の対処法やテーピングの巻き方などを少年たちに先生がレクチャーしました。少年サッカーですので、少年たちだけでなく親たちも聞いているので、整形外科の良い先生がいるという評判が地元で広がる結果に繋がりました。

リハビリテーション科を開業した先生のケースでは、地元のウォーキング愛好会と提携しました。リハビリにウォーキングを取り入れる、ウォーキングに参加できるようにリハビリをがんばってもらうという関係作りを行ったことでスムーズに地元での認知が進み、リハビリへのモチベーションを上げることができました。

青木氏は、地域に貢献したいという使命感がもっとも大事で、あとはそれをどうやってうまく形にするかだという点を強調しています。

地域に貢献したいという使命感がもっとも大事

地域に貢献したいという使命感がもっとも大事

地域貢献の形は様々。強みを生かした貢献を。

地域貢献の形は様々ですが大きく分けると地元組織、地元医師会、地域の開業医・病院の3つあります。この3つを整理して先生の強みを生かしてどのようにアプローチ・提携していくかを考えることが重要です。図表1に診療科目別の地域活動をまとめました。

また、その際、先生自身が出ていくことがあまり得意ではない、具体的にどのようにやっていけばよいかわからないなどであれば、クリニックコンサルティングを利用するのも一案でしょう。コンサルタントはビジョンを提供してくれるわけではありませんが、ビジョンを伝えれば形にする方法は様々な事例を元に提案してくれるはずです。

クリニックコンサルティングを利用するのも一案

クリニックコンサルティングを利用するのも一案

地域は先生を求めている。ぜひ先生から積極的な働きかけを。

クリニック、医師というのは一般の方からするとまだまだ敷居が高い存在です。そのため一般の方から医師へ地域貢献をお願いするというのは簡単ではありません。ぜひ先生の方から歩み寄る形で地域に対して積極的に働きかけて頂ければと思います。地域は間違いなくいろいろな形で先生を求めています。地域に貢献するクリニックは地元の財産になりますし、結果として地域に支えられるクリニックになると思います。

地域に選ばれる診療所になろう

地域に選ばれる診療所になろう